茶畑の家の構造 |
この建物の構造は100mm厚の壁パネルと床パネルを組み合わせて鉛直荷重と水平荷重を負担させる壁式木質厚板構造(WTP)という木造では新しい構造形式である。しかし、力学的にも材料的にも特別に目新しいものではない。力学的には壁式プレキャストコンクリート構造(WPC)と同様に壁パネルに面内方向の水平力を負担させる構造形式で、材料的にはラジアタパインのLVLと鉄の接合金物を用いているだけである。WTPの場合WPCとは異なり壁パネルの面外方向の曲げ耐力を利用したイノコンハウス(WTP+在来工法)のような筒状の空間にも対応可能である。 茶畑の家ではX,Y両 方向ともに壁の面内方向の水平抵抗に期待した構造である。建築計画的に必要な壁のみ利用することで両方向共に壁式構造として計画できた。また、吹き抜け部 分のサスペンションロッドは階段で切り取られた床を支えるため、駐車場に柱を立てることなく、屋根スラブに負担をかけないために選択された方法で、手すり としての機能も果たしている。これらは計画の初期段階からの打合せで建築と構造が同時に進められた結果として調和のとれた形態となった。こういった構法で 造られた建築は得てして「構造のための建築」になりがちあるが「空間のための構造」とするべくディテールに於いても建築的に仕上がるよう心を砕いた。 |